久しぶりに四天王寺へ行った。
当寺の回廊の柱は、上部は細く、胴部にわずかな膨らみを持つエンタシスの構造をしており、この形状こそ、飛鳥時代の建築物の特徴である。
そしてこのエンタシスは、ギリシャ・ローマの建築物に用いられていることから、回廊の柱は、その影響があると言われている。
それにしても、エンタシスを見ていると、なぜか「女性の美脚」を連想する。あの豊満な◎◎と大きく魅力的な□□を支える美脚は、エンタシスの構造そのものである。
上からの荷重を支えるには、力学的にも構造的にもこの形状が一番強く、さらに同じ太さの柱だと中央部が細く見えるが、その錯覚も無くすことができ、全く理に適っている。 このような考えを廻らしていると、エンタシスは、本当に女性の美脚から考え出されたと思えてくるから不思議である。
「構造的・機能的に優れたものは、美しい!!」と言われるが、女性の美脚を連想させるエンタシスは、デザイン的にも優れている。
そして飛鳥という時代の建築物のみに用いられ、その後の日本の建築物には、全く取り入れられることもなかったエンタシス。あの巨大な城郭建築にさえ用いられていない。
なぜだろうか。疑問は尽きない。
(杉岡藤一郎)