京都に似た風情や街並みが残る町は、“小京都(しょうきょうと)”の愛称で呼ばれている。
これは昭和60年(1985)、千年の都・京都に因み、同じような雰囲気を醸し出す27の市町が集まって設立された全国京都会議をベースにしている。
①京都に似た自然景観、街並み、②京都との歴史的なつながり、③伝統的な産業、芸能があることが、この会議の加盟条件であるが、実際にはこのうちの一つでも満たしていればよく、また古い町並みがある、というだけでも加入できるようである。
近畿地区では、丹波篠山市が「丹波の小京都」、豊岡市出石町が「但馬の小京都」などと呼ばれているが、大阪周辺の県では、特に小京都と名乗っているところはないようである。
ちなみに小京都の呼称の特徴は「〇〇の小京都」の〇〇に旧国名や、“瀬戸内の”とか、“山陰の”とか、“九州の”とかを付けていることである。ところで小京都と名乗っても観光客が増えず、誘客などに特に目立ったメリットもないことから退会するところもあるようで、最盛期には56の市町村が加盟していたが、現在は41市町まで減っている。
これとは別に“小江戸(こえど)”を名乗る市町村もある。
これは、①江戸のように栄えた町、②江戸時代を感じさせる町、あるいは③江戸との関りが深い町、④江戸の風情を残す古い町並みを残している町、と言ったイメージで使われている。
平成8年(1996)、栃木市、川越市、佐原市の3市が「小江戸サミット」を開催してからの呼称のようであるが、小江戸は東日本に、そして小京都は、西日本に加入している市町村が多いようである。
小京都や小江戸のメンバーになると、それぞれの組織から公に認められた、箔が付いた、そのため地域の活性化が期待できる、観光客が増えると考えられているようである。
また「北陸・飛騨・信州三ツ星街道」なる新しい地域ブランドもある。
金沢市や五箇山、白川郷、高山市、松本市などが立ち上げたもので、それぞれの地区には世界遺産級の観光資源があり、これらを活用して広域観光の魅力を発信している。
このように各市町村は、自ら持てる観光資源を活用して観光客の誘致を図っている。
(筆者注)
(上)篠山城下
(中)篠山城下
(下)小江戸・彦根城跡
R2・8・28 横山 豊