奥河内の秘境・滝畑に「滝畑湖」があるが、ここは通常「滝畑ダム」と呼ばれている。
しかし眼前に広がる景色は、湖そのもの、ここは「ダム」ではなく「湖」、「滝畑湖」である。
ダムは、川を堰き止めるための建造物であって、それによって生まれた景観は、「湖」であり、もう少し規模が小さければ「貯水池」と呼ばれている。
日本で始めて人工的に構築された貯水池は「狭山池」、その後、行基が築造したと伝える「昆陽池(こやいけ)」(伊丹市)が、そして河内長野市内でも江戸時代、当地の中村與次兵衛によって「寺池(寺ケ池)」が造られている。
これらは、構築された「堰堤(えんてい)」の名を付けて「狭山堰堤」とも「寺池(寺ケ池)堰堤」とも呼ばない。「狭山池」であり「寺池(寺ケ池)」である。
なぜ「滝畑」だけが、「滝畑湖」と呼ばれないで「滝畑ダム」と呼ばれるのであろうか。不可解。
現在日本では、多くの人工の貯水設備が構築されているが「○○湖」と呼ばないで、「□□ダム」と称されている湖は、筆者の知る限り何処にもない。滝畑だけである。なぜ。謎は深まる。
筆者は、この清流を湛えた緑豊かで美しい景観を「滝畑湖」と呼ぶべきでは、と考えているが・・・。
奥河内の閑適庵隠居 横山 豊