菩提樹 奥河内の延命寺に咲く

菩提樹南海・三日市町駅から東に森の中の道を進むと、延命寺が建つ。
弘仁年間(810年~823年)、弘法大師・空海が当地を巡錫した時、当地は薬樹や薬草が多く、真言密教の霊地に適していると、自ら地蔵菩薩を刻み一寺を建てたと伝えられている。その後の当寺の歴史は、よく判っていないが、江戸時代の初め頃は、地蔵堂しかなかったと言われている。
そして延宝5年(1677)、浄厳和尚(じょうごん わじょう)は、「薬樹山延命寺」として当寺を開山した。現在の延命寺である。
菩提樹この寺の境内に菩提樹(ぼだいじゅ)が咲く。
釈迦は、この菩提樹の下で悟りを開いたと言われている。
しかしインド菩提樹(桑科)は、熱帯樹のため日本や中国などの温帯地域では育たないので、葉の形が似ている木を菩提樹(シナノキ科)に見立てたようである。これが現在、我々が菩提樹と称しているシナノキ科の菩提樹である。
そしてこの木を臨済宗の開祖・栄西が中国から日本に持ち帰ったが、この菩提樹が、仏教の三大聖樹の一つであったことから、我が国の仏教寺院ではよく植えられてきた。
菩提樹ちなみに釈迦にゆかりのある花樹、いわゆる仏教の三大聖樹と言われるものがある。
釈迦は、「無憂樹(むゆうじゅ)」の下で生まれ、「菩提樹」の下で悟りを開き、「沙羅双樹(さらそうじゅ)」の下で入滅した、と伝えられている。
なお、シナ菩提樹は、インド菩提樹に、夏椿は沙羅双樹に見立てられてきたが、無憂樹も耐寒性がなく、日本では温室でしか育たないが、無憂樹だけは他の樹木に見立てられることはなかった。
延命寺の菩提樹は6月20日過ぎ、松林寺では5月末頃、満開になり、我々を楽しませてくれる。
西風狂散人(かわちのふうきょうさんじん)