雪柳満開 奥河内の寺池公園

南海・千代田駅から緩やかな坂を登っていくと、まもなく寺池に着く。
この池は、地元の中村與次兵衛の発案で、慶安二年(1649)着工、寛文元年(1661)、12年の歳月を掛けて構築された灌漑用の溜池である。そしてこの池が構築されたことにより、不毛の地であった千代田地区に新田が開発されたと言われている。
この池の呼び名は、一般的に「寺ヶ池(てらがいけ)」と呼ばれているが、地元では「寺池(てらいけ)」と「が」を付けない。従って、筆者・風狂散人も寺池(てらいけ)と呼ぶことにする。
この池の管理事務所の横に春を感じさせる雪柳の群生が見られる。
花は「雪柳」と言う非常に優雅な名前が付けられている。早春から咲はじめ、枝一面に、しかも房状に伸びた枝先まで白い花が咲き、見事なまでに美しい。名前の由来は、垂れ下がる枝一面に咲く白い花を「白雪」に見立て、すーと伸びて垂れさがる枝と葉が「柳」に似ていることからこのような名前が付けられたとのことである。そしてこの花が散ると、その下は雪の花が蒔かれたようになる。
普通、どのような木でも実が成るが、この雪柳は実は成らないし、枝や根を食用にするとも薬用になるとも聞いたことがない。勿論有害な花とも聞かない。春先、真っ白な花を咲かせることしか知らない。

この花に良く似たものに「小手毬(コデマリ)」がある。この花も枝が垂れ、その枝先に3Cmほどの半球形の白い花を付ける。花の形が手毬に似ていることからこのように呼ばれている。
さらに、この花よりまだ大きいのが「大手毬(オオデマリ)」である。これらの花は、学術的には別種に分類されているのであろうが、いずれも枝が柳のようにしなやかで、しかも白い花を付け優雅であることに変わりはない。
春を告げる雪柳が咲き、そのあと4月中旬から5月半ばまでコデマリとオオデマリが我々を楽しませてくれる。そしてその後の極めつけが6月に花咲く紫陽花(アジサイ)であろうか。
なお、この雪柳は、4月中旬頃、満開になり、見事な花のうねりが楽しめる。

西風狂散人(かわちのふうきょうさんじん)