「與通(よつ)のお大師さん」と呼ばれる盛松寺(せいしょうじ)は、河内長野の楠町にある。
本尊は弘法大師。伝承では、当地で弘法大師が祈祷を行ったが、その場所から樟の木が生えてきた。この樟の木は霊木として崇められていたが枯れたので、享保7年(1722)、延命寺の住職・諦観和尚(たいかんわじょう)がこの霊木で大師像を刻み、当寺の本尊として祀った、と。
高野街道沿いで、特に河内長野市内で弘法大師・空海が関わったと伝えられる寺院や仏像は多い。
まず、空海創建の寺院は、延命寺と石仏寺がある。
また、空海作の仏像は、月輪寺の薬師如来坐像や観心寺の如意輪観音像、そして延命寺の地蔵菩薩や石仏寺の阿弥陀如来石造がある。
しかしこの盛松寺では、弘法大師自身が彫られ祀られているが、大師自身が祀られていることは極めて珍しい。
ご本尊は、「厄除け弘法大師」と言われ、当寺は「大師信仰の寺」と言うことができる。
この盛松寺の境内にノウゼンカズラが咲く。
ノウゼンカズラは、垂れ下がった枝の先に夏から秋にかけて橙色や赤色の、大きく派手な美しい花を房状に付ける。花の形がラッパに似ていることから、英語名は「トランペット・フラワー」と呼ばれているそうである。
つるは、気根(きこん)を出して樹木などに吸着して、よじ登るようにどんどん高く延び、樹勢も強く、枝は四方に広がりながら成長していく。しかも寿命も長いと言われている。
花は周囲にいい香りを放ち、またその甘い蜜に誘われて虫や小鳥が集まってくる。しかし俗説では、その蜜に毒があると言われているが、実際は無く、むしろ花や樹皮は漢方薬の原料になる。
7月中旬、この盛松寺の境内に美しく派手なノウゼンカズラが咲く。
なお河内長野では、観心寺山門横や市内の民家でも、9月中旬頃まで、この花を楽しむことができる。
西風狂散人(かわちのふうきょうさんじん)