日本の“へそ”とか、“中心”、あるいは“真ん中”と主張している町がある。
兵庫県の西脇市は、日本の標準時の基準・東経135度の子午線と日本列島の最北端の北海道の宗谷岬と最南端の沖縄県波照間島のほぼ中央を走る北緯35度が交わっている。そのため同市は“日本のへそ”の町と主張している。
なお日本の“へそ”の起こりは、陸軍参謀本部の陸地測量部の計測によって東経、北緯の交差する地点がこの西脇市と解かったことに起因している。
ところで西脇市が“へそ”とすれば、当然のことながら顔は北海道で決まりだが、日本列島はどのような位置付けになるのか。遊び心がまた疼いてくる。胸が岩手県や山形県、福島県あたり、そして膝が山口県から福岡県で、足は沖縄の南西諸島あたりか。
日本のへそと主張する市町村が、ほかにもある。
群馬県渋川市の主張は、北海道の最北端・宗谷岬と九州の最南端の鹿児島県佐多岬を結んだ中間点に位置し、さらに延暦21年(802)、坂上田村麻呂が東北遠征の時、当地に立ち寄りここが日本の中心であると臍石(へそいし)を置いたとの歴史的な出来事に由来している。
栃木県佐野市の場合は、宗谷岬と佐多岬は同じであるが、これに日本海の海岸線の中間点と太平洋側の海岸線の中間点とを結び、この2本の直線が交差する所が佐野市との主張である。
一方、山梨県韮崎市。佐野市と似ているが、本州の海岸線ではなく日本の最東端・南鳥島と最西端の沖縄県与那国島を結んで交差した所が、韮崎市との主張である。
第5は、長野県辰野町。当町の主張は日本でゼロポイントになる場所、すなわち経度・緯度とも00分00秒となる場所で全国に40ケ所あるがその中心が辰野町であるとのこと。ちなみに辰野町のゼロポイントは、東経137度00分00秒、北緯36度00分00秒であるが辰野町は、へそではなく“日本の地理的中心”と言っているようである。
第6は、岐阜県関市でその主張は、他と少し異なっている。
国勢調査による人口の重心に根拠を置いていて、日本人全体(体重は全て同じと仮定して)を日本地図に乗せてバランスする所、それが関市とのことである。但し関市の主張では国勢調査のたびに重心がずれていく可能性があるが・・・。
これら以外にも日本のへそと名乗っている市町村が全国に40ヶ所以上もあるとのことである。
ところで“日本のへそ”以外でも“○○のへそ”と主張している市町村がある。奈良県の吉野町は紀伊半島のへそ、大阪府のへそは“大阪市阿倍野区北畠1丁目”で南海電鉄・高野線の岸里玉出駅の東1.5Kmの地。
それならば河内長野市の“へそ”は、どこか。
まず第一案は、河内長野市の南西の燈明岳の東南で市域の最南端の地と千早峠の東北の市域の最東端、さらに市域の最北端である松ケ丘にそれぞれコンパスの針を刺して得られる中心点、それが市の中心“へそ”の地である。この地は唐久谷四つ辻から西に広域農道を大江時親邸跡方面に700m行った所の、さらに左約100m南の山の中で、東経135度34分、北緯34度24分の地である。
そして第二案は、厚さが一定の紙を河内長野市の形に切り抜き、それを指の先に乗せと、バランスする所、重心(中心点)がある。この地が“河内長野市のへそ”で、実際に実験してみると、“へそ”は、唐久谷四つ辻の少し北の地点になる。いずれにしても河内長野の“へそ”の地は唐久谷のようである。
西脇市などは、この“へそ”を観光資源として活用している。
しかし河内長野では唐久谷が河内長野市の、そして当然のことながら、ここが“河内長野のへそ(重心・中心)”と知る人もいないであろうし、それを示す看板すら立てられていない。何か対策はないものであろうか。
なお唐久谷に行った時には、河内長野の“へそ”は、ここであることを多くの人たちに教えてあげたいものである。
(筆者注)
(上)唐久谷の“へそ”
(中)へその位置(地図上で)
(下・上)へその位置(地図上のバランス地点)
(下・下)唐久谷の“へそ”
R2・6・5 横山 豊